存在感のあるバルーン電報
「ここの主人は金持ちのようだが、兄弟の仲が悪いようだ」もちろん、日本の事情をよく知らない黄老師は、義明氏と清二氏の堤兄弟の仲がよくないことを知るよしもありません。
また、「ノーベル文学賞を受賞したえらい人の墓です」とだけ言って、川端康成の墓も見せました。
すると老師は、「おかしい、ここの主人は変な死に方をしている」と言うではないですか。
もちろん私は、川端康成が自殺したなどということは、ひとことも言っていません。
老師によると、墓を看ただけで、ガンか突然死をしたような人だとわかったのだそうです。
このときは、黄老師に師事して一年ほどたったころです。
私は、それまでも老師のすぐれた力をある程度理解していたつもりですが、このときのことばを聞いて、風水によってこんなことまでわかるのかと、あらためて驚いたものです。
大地の気の流れを読むのが「風水」いま、日本では、「気」がたいへんなブームになっています。
人間の体に、目には見えないエネルギーが流れているということを、みなさんもお聞きになったことがあるでしょう。
しかし、なにも人間の体の気だけが気ではありません。
私たちをささえているこの大地にも、気が流れているのです。
その大地の気の流れをつかむのが風水です。
風水は、いまから約四千六百年まえ、中国の黄帝の時代にすでに体系化されたといわれています。
これは、古代から気の遠くなるほどの年月をかけて、自然現象と人間生活との関係を集大成したものです。
けっしていいかげんなものではありません。
そもそも古代から、中国人は自然をおそれると同時に、自然の姿を探究するという態度を一貫してとってきました。
そして、さまざまな経験と観察を重ねながら、自然の姿をすこしずつ解き明かしてきました。
その結果、大地にも、人とおなじように気が通っていることを知ったのです。
こんなことを言うと、むずかしい内容のように聞こえますが、けっしてそんなことはありません。
みなさんも、身近に見たり聞いたりしているはずです。
たとえば、こんなことを考えてみてください。
土地が変わると、なぜ育つ植物がちがってくるのでしょうか。
また、狭い範囲の土地の中でも、ある場所だけは実りがよかったり、ものが腐りにくかったりということもよくあります。
これはなぜなのでしょうか。
もちろん、土の質のよしあしとか湿度のちがい、あるいは風向きがよいか悪いかなどという理由が考えられます。
それならば、なぜ土の質や湿度、風向きがちがってくるのでしょうか。
大地の気の流れを読み、よい気の出ている場所を探しだすことで、運を開いていくのが風水古代の中国人も、このような疑問をもって観察を続けていったのでしょう。
そして、長い年月にわたる経験と観察のすえに、それが山の形や川の流れ方などに大きな関係があるということがわかってきたのです。
言いかえれば、風景や地形が一つの大きな力となって、人間の生活に影響を与えることがわかったのです。
たとえば、周囲に山があるか、その高さはどのくらいか、川の流れの向きや蛇行のしかたは……といった点をすべて総合して見ていくことによって、その土地のもつエネルギーや特徴がわかってくるわけです。
それがわかれば、どこがよい場所なのか、どこが悪い場所なのかということがわかるはずです。
いいエネルギーがたくさん流れているところに行けば、すがすがしい気持ちになるでしょうし、悪いエネルギーが流れているところに長いあいだ住んでいれば、体のぐあいが悪くなってしまいます。
ちょっと単純化しすぎたかもしれませんが、大地に気が流れているというのは、こういうことをいっているのです。
余談になりますが、気功をする人も、上達してくると大地の気に気づくようになります。
そして、″よい気の出ている場″を求めて、山の中にはいっていく人も多くいます。
とくに、熟達した人は、弟子もとらずに、山の中にこもってしまう傾向があるようです。
というのも、大地のよい気を受けることで、体の気もさらによくなるからです。
文字どおり、山の中が″気に入って″しまうのでしょう。
風水とは地球を大きな生命体の一つと考え、その生命体の血脈の流れ、気の流れを読みとっていく学問なのです。
しかし、原理は簡単ですが、実際に気を読みとるのは一筋縄ではいきません。
いってみれば、そこが風水師の腕の見せどころでしょう。
気をうまく読みとれれば、そこにどういう家や墓をつくればよいのかがわかります。
もちろん、すでにつくられた家や墓を見て、その運を知ることもできます。
さらには、都市や国の発展さえも読みとることができるのです。
大地にも、気の流れる経絡がありツボがある大地にも、人間の体とおなじように気が流れています。
ですから、人間の体に経絡やツボがあるように、大地にも気の流れる経絡や、気のパワーをもらいやすいツボがあります。
それでは、大地の気はどのように流れていくのでしょうか。
そもそも大地には、それぞれの地域がもつ独特の気があります。
しかし、ここではこの気のことは置いておくことにして、大地を走る″気″のことを考えてみましょう。
まずはじめは、気の出発点です。
大地の気を強く受けているところは、地上に大きく盛り上がっています。
つまり、高い山がそれにあたります。
たとえば、富士山などはひじょうに大きなエネルギーをもった山です。
気は、そのような高い山(影ば)を出発点にして、あちこちの方向に流れていきます。
高い山を出た気は、山筋や尾根を通って流れます。
つまり、連なっている山の山頂と山頂を結びながら流れていくのです。
けっして、沢筋を通ることはありません。
もちろん、途中で低くなったり、またすこし高くなったりしますが、だんだんと高度を下げていきます。
これが大地の″気″の流れのおおまかなイメージです。
おわかりになったでしょうか。
この流れだけをつかむのならば、それほどたいへんなことではありません。
多少の練習を積めば、みなさんでも簡単に見つけることができるはずです。
慣れてくれば、地図を見ただけでも″気″の流れがわかります。
しかし、大地の気が走っているところでは、私たちは気をもらいにくいものです。
全速力で走っている自動車を、素手で止めるようなものだからです。
そこで、気がたまっているツボを探すことになります。
中国医学でも、ツボに鍼をさしていろいろな治療を行なうでしょう。
というのも、そこに気がたまっているからにほかなりません。
ですから、私たちも大地の。
気”をもらうためには、大地の″ツボ″を探すことが必要になってきます。
大地で″ツボ″にあたる地点とは、ある山に発した気の流れがいったん止まって、気が充満しているところをいいます。
その地点では、大地のエネルギーが凝縮し、気のエネルギーが地表にあふれだしています。
もちろん、気の流れが大きければ、こんな地点が何ヶ所も出てきます。
そういう場所に建造物や墓を建てれば、大地の気をたっぷりともらうことができるのです。
ですから、新しく建物や街をつくるときは、このツボを見つけ出すことが何よりも重要になってきます。
というのも、建物や街がツボを押さえているかどうかによって、将来の発展が大きく左右されるからです。
風水学では、このような大地のツボのことを″穴″といいます。
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